大判例

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最高裁判所大法廷 昭和29(あ)3098 判決

主 文

原判決および第一審判決中被告人に関する部分を破棄する。

被告人を懲役六月に処する。

第一審における未決勾留日数中三〇日を右本刑に算入する。

第一審における訴訟費用は被告人をして第一審相被告人Aおよび同Bと

連帯して負担させ、当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理 由

弁護人神道寛次の上告趣意について。

原判決の是認した第一審判決は、押收にかかる韓国汽船C号を同判決判示密輸入

未遂の犯行の用に供した船舶で、その犯行当時被告人の占有に属したものであると

して旧関税法(昭和二九年法律第六一号による改正前の関税法をいう。以下同じ)

八三条一項により没收する旨の言渡をしているのであるが、原判決挙示の証拠によ

れば、右船舶は被告人並びに共犯者である第一審相被告人Aおよび同B以外の第三

者であるDの所有に属するものであること明らかである。しかし同条項により被告

人ら以外の第三者の所有物を没收することは、同法その他の法令において所有者た

る第三者に対し、その所有物件につき告知、弁解、防禦の機会を与えるべき旨の規

定を設けていないから、憲法三一条および二九条に違反し許されないと解すべきこ

とは、当裁判所の判例(昭和三〇年(あ)第九九五号同三七年一一月二八日大法廷

判決)とするところである。

従つて原判決および第一審判決が右船舶を旧関税法八三条一項により被告人から

没收する旨言い渡したことは、憲法の右各条に違反するものであつて、論旨は結局

理由あるに帰し、原判決および第一審判決中被告人に関する部分は、この点におい

て破棄を免れない。

よつて刑訴四一〇条一項本文、四〇五条一号、四一三条但書により原判決および

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第一審判決中被告人に関する部分を破棄し、被告事件につき更に判決する。

原審の是認する第一審判決の確定した事実に法律を適用すると被告人の同判示所

為は、関税法附則一三項により従前の例によるものとされた旧関税法七六条二項後

段一項、刑法六〇条に該当するので、所定刑中懲役刑を選択し、所定刑期範囲内で

被告人を懲役六月に処し、未決勾留日数の本刑算入につき刑法二一条を、訴訟費用

の負担につき刑訴一八一条一項本文、一八二条をそれぞれ適用し主文のとおり判決

する。

この判決は、裁判官下飯坂潤夫、同高木常七、同石坂修一、同山田作之助の反対

または少数意見があるほか、裁判官全員一致の意見によるものである。

裁判官下飯坂潤夫の反対意見は、次のとおりである。

わたくしは、第三者所有物の没收を違憲とする多数意見に賛成しえない。その理

由は、昭和三〇年(あ)第二九六一号、同三七年一一月二八日言渡大法廷判決にお

けるわたくしの反対意見と同趣旨であるから、これを引用する。

裁判官高木常七の少数意見は、次のとおりである。

わたくしは、第三者所有物の没收を違憲とする多数意見に賛同しえない。その理

由は、昭和二八年(あ)第三〇二六号、同三五年一〇月一九日大法廷判決(刑集一

四巻一二号一五七四頁)におけるわたくしの補足意見と同趣旨であるから、これを

引用する。

裁判官石坂修一の反対意見は、次の通りである。

本件に関する多数意見に反対する理由は、わたくしが先に昭和三〇年(あ)第二

九六一号、同三七年一一月二八日言渡の大法廷判決に示した反対意見につきて居る

から、これを引用する。

裁判官山田作之助の少数意見は、次のとおりである。

没收の点に関するわたくしの意見は、昭和三〇年(あ)第二九六一号、同三七年

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一一月二八日言渡大法廷判決におけるわたくしの少数意見と同趣旨であるから、こ

れを引用する。

検察官 村上朝一公判出席

昭和三七年一二月一二日

最高裁判所大法廷

裁判長裁判官 横 田 喜 三 郎

裁判官 河 村 又 介

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 池 田 克

裁判官 垂 水 克 己

裁判官 河 村 大 助

裁判官 下 飯 坂 潤 夫

裁判官 奥 野 健 一

裁判官 高 木 常 七

裁判官 石 坂 修 一

裁判官 山 田 作 之 助

裁判官 五 鬼 上 堅 磐

裁判官 横 田 正 俊

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